広演色プロセスインキKaleido®の特長

AdobeRGBに近づいたKaleido®

デジタルデータによる印刷原稿制作が主流となっている現在、ディスプレイ(モニタ)での色表現方法(RGB表色系)を基準に写真が撮影・編集され、デザインが制作されています。これら印刷原稿は、最終工程である印刷の直前で、印刷インキの色表現方法(CMYK表色系)に変換されます。

しかし、従来のようなプロセス(4色)印刷をしようとすると、一般的なCMYK(Japan Colorなど)はRGBと比べて色表現領域がかなり狭いため、思い通りの色を再現することができません。とくに、彩度の高い(鮮やかな)色彩や滑らかな階調表現など、商業印刷デザインにとって大切な色表現の要素が大きく損なわれてしまうのが現状でした。

このような場合、印刷の色再現領域を拡張するために従来行われてきたのは、中間色の版を加えた6色・7色印刷(ハイファイカラー印刷)や、特色(スポットカラー)印刷といった多版化であり、それは、分版(RGB→印刷色変換)を難しくするとともに、コストアップにもつながりました。

東洋インキは、印刷会社・デザイナー・クリエイター・クライアントの皆様が抱えているそのような悩みに対して、「一般的な標準CMYKにこだわらず、ユーザーが求めるプロセス印刷色再現を追求する」というアプローチにより、広演色プロセスインキKaleido®を開発、それらの悩みを解消できるCMYK色再現領域の確保を実現しました。

図1:ガモット図(Yxy平面)
図2:ガモット図(ab平面)
図3:3Dガモット図

上の図は、肉眼が認識できる色彩範囲を表した「色度図」を色相/彩度と明度の2次元および3次元で表記した「ガモット図」で、AdobeRGBの色表現領域が水色の枠線で示されています。中央の濃いグラデーション領域は従来インキ(Japan Colorなどの標準的なプロセスインキ)の色再現範囲であり、赤色の枠線はKaleido®の色再現範囲を示しています。
従来インキと比べてKaleido®は、その色再現範囲を飛躍的に広げており、AdobeRGBの色表現領域に大きく接近していることが判ります。

従来インキでは実現できない色の再現

ガモット図で確認できる「Kaleido®が実現するCMYK色再現範囲の拡大」は、実際の画像では以下のような効果として現れます。

実際の画像

ガモット図

  1. 従来インキよりはるかに広い色再現域で黄から赤の階調が豊かになっています。
    ←従来インキでは黄〜赤の色再現範囲が狭いため、オレンジ色の鮮やかさが損なわれ、濁った階調になってしまいます。
  2. 強い赤の階調再現も向上しています。
    ←従来インキではビビッドな赤色が再現できず、やや重い暗赤色になってしまいます。
  3. マゼンタの発色が鮮やか、特に白からピンクの再現が綺麗になります。
    ←従来インキのマゼンタは十分な鮮やかさを発揮できず、ぼんやりとした階調表現になってしまいます。
  4. 特に今まで印刷では再現しにくかった濃いブルーが、Kaleido®では階調も色再現も格段に向上しています。
    ←従来インキではインパクトのあるストロングブルーの発色はできませんでした。

AdobeRGBに対する再現性の向上

デザインの現場で用いられている写真画像の多くは、デジタルカメラデバイスの性能向上などに伴い、AdobeRGBモードが多くなっています。
下図は、従来インキとKaleido®インキのそれぞれでAdobeRGB画像を再現しようとした場合の、再現不能領域(インキの色再現範囲からはみ出してしまう部分)を“濃いグリーン”で表しています。

従来インキ

再現できない色の領域が多い

Kaleido®

AdobeRGBの色領域の大半をカバー

Kaleido®印刷がもたらす付加価値

広演色印刷を実現する画期的なプロセスインキ、Kaleido®が、カラー印刷の価値を高めます。

6色・7色印刷レベルの色再現

色再現領域を広げたKaleido®は、現在お使いの4色印刷機で6色・7色(ハイファイカラー)印刷と同様の色再現が可能となります。印刷のコストダウンや省電力化につながり、4色機しかない印刷現場でもカラークオリティの高い印刷物を生産できます。

AdobeRGBイメージに近い最終印刷物

Kaleido®による広演色印刷は、デザイナーやクリエイターのPCモニタ上でのイメージに、限りなく近い最終印刷物を実現します。
これにより、クライアント満足度のより高い製品を提供することが可能となります。

専用のICCプロファイルでKaleido®品質のプルーフを作成

専用のKaleido®プロファイルを使えば、モニタ上でのデザイン確認やインクジェットプリンタによるプルーフ出力において、Kaleido®インキによる最終印刷物に近い色再現を確認することができます。

Kaleido®インキによる広演色印刷における留意点、インキ情報

カラーマネジメントの必要性

広演色印刷を実現するためには、各々の印刷現場に適合した「印刷の標準化」が必要であり、そのためにはプリプレス・プレス工程でのカラーマネジメントが不可欠です。
CTP導入済は必要条件となりますが、ICCプロファイルによる色管理、製版カーブの調整、印刷機でのドットゲイン調整などが可能な環境を推奨いたします。
なお、東洋インキでは、印刷会社様における「印刷の標準化」支援業務を行っております。

印刷現場における濃度管理の徹底

Kaleido®インキは、黄・紅・藍のインキ色相が高鮮明となっているため、レギュラーインキ(Japan Color該当品)よりも視感濃度が低くなっています(薄く感じられます)。
印刷作業においては濃度計を使用し、徹底した濃度管理を行ってください。

Kaleido®インキのファミリー

Kaleido®インキは、オフセット枚葉インキだけでなく、様々な印刷方式/用途のファミリーが製品としてラインナップされています。

  • オフセット枚葉プロセスインキ TOYO KING NEX® NV100 カレイド®
  • 水なしオフセット枚葉プロセスインキ アクワレスエコー® カレイド®
  • UV硬化型オフセット枚葉プロセスインキ FLASH DRY® カレイド®
  • 出版用オフセット輪転インキ WEB DRY® LEO-X® カレイド®
  • 新聞用オフセット輪転インキ VanteanEco® News カレイド®